「オシムの言葉」集英社インターナショナル・1

2018年1月3日

あまりアートとは関係ないかもしれませんが、7日に読んだ本の話。その1
ジーコの跡を継いで日本代表の監督になったイビツァ・オシム(著者の木村元彦氏によると、一般に用いられている「イビチャ・~」よりも、こっちの響きの方がしっくりくるのだということだ)。表題はそのオシム監督とその周辺の人々に取材し、監督を務めていたジェフが初めてヤマザキナビスコカップで優勝した直後の昨年12月に刊行されたノンフィクションです。
代表監督就任ということもあり、8月初旬の今でも11刷が店頭に平積みされるほどの人気を保っています。(元書店員のかみさん曰く、半年で11刷というのは「爆発的な売れ行きではないが、よく売れている」とのこと。サッカーがマイナースポーツだった時代を知る僕としては、感無量の現象でもあります)読んでハマりました。一般的な単行本サイズで250ページ弱。元々僕は読むのが遅い方なんですが、一日に2回も読んでしまいました。
オシム監督は来日3シーズン目になるのですが、その最初の年に、Jリーグが発足して以来、前身であるJFL時代の古河電工の栄光がウソのように、入れ替え戦の常連になっていた「お荷物球団」ジェフを、リーグ優勝に絡めるほどのチームに変えたのでした。千葉県に住んでいることもあり、サポーターではないにせよ、何となくジェフを気にかけていた僕は、その手腕に「この監督は違う」とびっくりしたものでした。
経歴を聞けば、ユーゴスラビア代表最後の監督とのこと。そのことを知った当時の認識は、あのストイコビッチを始め、ブラジル以上にタレントを集めた黄金の世代(残念ながら日本の「黄金の世代」とは次元の違う、本当の意味でのタレント<才能>の集合体だったと思います)をまとめあげた希有の名将といったところでしょうか。また、記者会見での含蓄に飛んだやり取りに普通の監督にはない「なにか」を感じたのは確かですが、「ずいぶん頭のいい監督だな~」という印象を持ったにとどまっていました。
しかし、この本を読んでオシム監督とその家族、当時のユーゴ代表がくぐり抜けてきた様々な出来事を知るにつれ、監督として、そして人間としてのすごみのようなものを感じることになりました。そして、ジェフをここまで強く美しいサッカーチームに変えたことが、決して偶然ではないと思うようになりました。
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