武蔵野美術大学卒業制作展・やったもん勝ちの世界

1月19日(金)に武蔵野美術大学の卒業制作展に行ってきました。

アトリエ新松戸の卒業生たちの成長を確認するのが主な目的ですが、やはり他の学生の作品も気になります

主に自分の専門である絵画系の学科を中心に見たのですが、「素晴らしい!」と感じる作品は少なくありませんでした。特に大学院生や学部でも優秀賞をもらっている作品には、「これからこの人たちはこの世界でしっかりとやっていけるのだろうな」という感想を持ちました。

しかし、「高い学費を払って、その集大成がこれですか!?」と感じる作品もありました。学部の4年間でできることは限られています。特に、あまり将来像を明確に描ききれないままに入学することが多いであろう現役合格生が、作品を作り続ける人間として、高い意識を持って大学生活を過ごしていくことはなかなか難しいことかもしれません。それは自分自身の経験からも分かります。

それにしても、武蔵野美術大学の卒業制作展です。そのネームバリューだけでも多くの観客が来てくれます。中には、将来のダイアモンドを探しているキュレーター、ギャラリストもいます。そんな一世一代の大舞台なんですから、作品サイズ、技法、テーマなど、自分の極限に挑戦するというか、チャレンジする姿勢をなぜ見せないのだろうか?と寂しく思いました。

あるいは早々に作る人生に見切りをつけていたのかもしれません。人生の選択に口を挟むことはできませんが、教室を運営し、公募団体に身を置く身としては、美大出身以外の方にアドバイスする上で、大学で身につけた知識や学ぶ姿勢が、どれだけ役に立っているか。。。その世界にしがみついていれば、同世代の中での先行者利益は確実にあるのです。

村上龍さんは「13歳のハローワーク」で「画家にとって、もっとも大切なことは、絵を描き続けることである」と書いています。

参照「13歳のハローワーク公式サイト・画家」

「その道で食える可能性がないのに何を綺麗事を言ってるのか!」と感じるかもしれませんが、この言葉は自分自身が大学院でお世話になった中根寛先生から頂いた「絵は描き続ける事が大切です。皆さんの友達が絵を買えるくらい歳まで頑張り続ければ、ライバルはいなくなります」との言葉と重なります。

続けると言っても、先人のコピーを続けていては将来はありません。ありきたりですが、失点を恐れて行動しないよりも、チャレンジして失敗した方が、はるかに得るものはあります。「やったもん勝ち」。この精神は本当に大切です。そんなことを改めて感じた1日でした。

アイキャッチ画像はムサビ卒展で岩崎的に一際目を引いた勝海麻衣さんの作品。「やったもん勝ち感」がにじみ出ています。