カルチャー教室再開

2018年1月3日

060823_01.jpg8月20日でカルチャー教室の夏休みはおしまい。21日から再開となりました。僕の担当する火曜日と木曜日のクラスのモチーフは「ジャガイモ、タマネギ、リンゴにかご、布」といったもの。じつはこれ、セザンヌの静物画からインスピレーションを受けたものです。(掲載している図版は「IPA教育用画像素材集」から)
教室で静物を描いていると、どうしても正しいかたちを追いかけようと「デッサン」的な表現になりがちです。しかし、それでは「自分らしく描く」ことからどうしても離れてしまい、「そっくりかどうか!?」という一つの判断基準での評価になってしまいます。プロを目指す学生達なら、一度そういうところを通ってみる価値はあると思いますが、楽しみで描きにきている人に苦行をしてもらうのも気が引けます。(正確なカタチって、なかなか描けないものですから…)
ということで、まずモチーフを見てもらい、席とりの抽選をしたあとで、セザンヌ、マチス、ゴッホ、モランディ、ブラック、岸田劉生、野田弘志の静物作品を画集で紹介しながら、「同じ静物でも作家によって扱い方がこんなに違う」ということを説明しました。その上で「人のやらないことをやってみましょうね」と水を向けて、あとは生徒さんのエスキースを見せてもらいながら授業を進めていきました。
ただ、一つだけ注意したのは「モチーフと自分と画面の対話を大切にして下さい」ということです。デフォルメするにしても、ただ自分勝手にやっていてはいい絵にはなりません。「モチーフをよく観察して、それを自分なりに解釈して、画面に残す」。観察することで日頃何気なく見ているだけでは気がつかない発見があるでしょう。そこから発想していくことで、観る人の共感をよぶような、説得力のある表現に至ることが出来るのです。
たまたまリンゴをまん丸に描いていた生徒さんがいたので「リンゴの花びらは5枚、で輪切りにしたら五角形にみえる」とか「リンゴの実はお日様を受ける側が大きくなる」なんて説明をしながら、観察の意義を訴えました。この日から教室に入った新人さんには、少し堅苦しい話に聞こえたかもしれませんが、絵を描くことを楽しむ前提のようなことですので、徐々にでも慣れていってもらえればと思います。
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実際のモチーフはこれ↑。生徒さんたちひとり一人がどう解釈するか楽しみです。
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