まず自分がかわる

2018年1月3日

鉛筆や筆の持ち方については何度かこのブログでも取りあげている。指先
が自由に動かせるかどうかは、表現活動の根幹に関わる問題だけに、アト
リエの学生には、どうにか気付きと修正の機会を与えてあげたい。しかし、
なかなかハードルが高い。日頃の習慣を変えるのには抵抗があるのだろう。
多少変な持ち方をしていても、日常生活にはあまり影響がないかもしれな
い。それなりに文字も絵も書けるだろう。しかし、何かを作り出そうとす
るときに、小さなつまずきで前に進めない事もある。例えば、昨年小学生
に木版画の指導をした時、彫刻刀をうまく使えない児童がたくさんいた。
怪我をしないためには、理にかなった姿勢が求められる。この基本になる
のが箸の持ち方だったり、鉛筆のそれだったりする。これの出来ている子
は比較的容易に彫刻刀を扱う事ができるのだが、これが出来ていないと横
から見ていて、いつ怪我をするか心配で内容の指導どころではない。
慣れ親しんだものを変えるのは大変だ。しかし、鉛筆の持ち方など生活に
密着した行為は、年齢を重ねれば直しにくくなる。そうなってからでは厄
介だ。中村俊輔だって海外に渡ってから両足を使うようになった。やはり、
いい作品を作るためには、まずは自分がかわらなければならないと思う。