テンペラ実習06-転写・素描

2018年1月3日

2006/11/21
ここまで5回にわたってお伝えしたテンペラ実習ですが、ほとんどの生徒さんが初めての体験ということで、制作プロセスを皆さんにお見せする上で、なかなか上手く行きません。というわけで、ここからは自分自身の勉強も兼ねて模写を行い、そのプロセスを見て頂こうかと思います。題材として取り上げるのはボッティチェリ「プリマベーラ」の三美神の一人です。
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1・「転写」
<左>「原寸美術館」の図版をコピーして原稿にし、そこからトレースします。カーボン紙はコピー用紙に3Bとか4Bの濃い鉛筆を塗り込んだ手製のものを使います。原稿をボードの利き手側の長辺にセロテープで固定し、カーボン紙をはさんで線描きで写していきます。画面の向きによっては、上部に固定してもかまいませんが、どちらにしても像のブレを防ぐため、長辺側に固定する方が良いでしょう。<右>途中で原稿とカーボン紙をめくって、どこまで転写できているか確認しなが進めていきます。
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<左>一通り写し終えました。<右>このままだと、せっかく写した線がこすれたりして消えてしまうので、墨汁を使ってなぞっていきます。このとき、利き手の逆側からはじめた方が作業効率は上がります。
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2・「素描」
<左>必要に応じてボードの向きを変え原稿に重ねるなどして、なるべく近づけて作業した方が正確に写すことができます。<右>今回はこの段階で墨汁を使って明暗をつけていきます。まず、暗い色面部分をべた塗りします。
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<左>墨汁に水を加え、薄くして人体部分の微妙な明暗を追っていきます。一度暗くなってしまうと明るく戻すことは出来ないので、薄めの墨汁を何層も重ねるようにしてトーンをつくった方が無難です。<右>この程度まで明暗をつけてこの工程を終えました。
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と、ここまで作業しながら「ボッティチェリの時代のイタリアに墨汁は無いだろう!?」とか、「転写は、確か素描の輪郭部分にニードルで穴をあけ、上から木炭の粉などをこすりつけてガイドをつくり、それを銀筆でなぞったんじゃなかったか?」など、楽しい突っ込みを自分にいれていました。ということで、一応、芸大の佐藤先生のレシピ(「トンプソン教授のテンペラ画の実技」三好企画発行)にそって進めては行きますが、厳密な模写というよりは現代風にアレンジした自己流での模写になります。
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制作記録

Posted by hideta