テンペラ実習01-前膠塗り
カルチャー教室の「目指せセザンヌ!?」モチーフも先週で終了しました。皆さん、それぞれに工夫を凝らした構図と表現で、バリエーション豊かな作品が出てきました。
さて、今週からは新しい課題になります。去年あたりから一貫して「構図・構成」や「発想」に重点を置いたカリキュラムだったので、ここで「技法・材料」に注目してみようと思います。クラスによって回数にバラツキはありますが、これから年末まで、「白亜地による卵黄テンペラ」に取り組みます。
以前、自分自身の制作プロセスを公開したときに「処方箋を教えて頂けませんか?」とのコメントをいただいたのですが、その時はざっとメディウムの作り方だけ説明してすませてしまいました。今回せっかく、クラスで取り組むので、記録と自分自身の勉強を兼ねて詳細をレポートしてみようと思います。他の記事の合間にボチボチ書いていきますので、興味のある方はおつきあいください。また、半分位は我流でやっていますので「これは違う!」など指摘して頂けるとありがたいです。
この日使用した材料・器具
ランバーコア(ラワン)-F4号(333×242mm)のサイズにカットしたもの
ウサギ膠(クサカベ製)
電熱器・計量カップ(耐熱ガラス製)・ナベ、ぞうきん・刷毛・画鋲
1・「砥の粉とり」
ホームセンターでF4号サイズにカットしたランバーコアの表面についている砥の粉を、堅くしぼった水ぞうきんで拭き取ります。ラワン材からでる「ヤニ」を気にするのであれば、シナ材を表面に使用したランバーコアの方が良いでしょう。
今回は、次におこなう「前膠塗り」で目止めが出来るという前提で、安価で手に入りやすいラワン材のものを使用しました。このランバーコアが、絵を描いていく土台になりますので、ここでは「基底材」と呼びます。4号を17枚、端切で3枚の基底材を用意しました。
2・「膠湯煎」
計量カップに水1リットルと「ウサギ膠」70gをいれよくかき混ぜます。3時間ほどすると膠が水を吸って膨潤するので、それを60~80℃で湯煎します。湯煎器があればそれに越したことは無いのですが、ナベ底にタオルや瀬戸物を敷いて、膠水を入れた容器に直接電熱器からの熱が伝わらないようにすることで、一般家庭にあるナベで代用可能です。
3・「前膠塗り」
(1) 十分に解けきった膠水を、刷毛を使って塗りやすいように、計量カップから別の容器に移します。ここでは直径18センチの片手鍋を使いました。
(2) まずは片面に膠水を塗ります。このとき、膠の層がなるべく均一になるように、2度刷毛(同じところを2度塗ること)は可能な限り避けます。経験的には、砥の粉とりをしてから時間をおかずにやった方が上手く行きます。
(3) 片面を塗り終わり、多少乾いたところで4隅に画鋲を刺します。これから側面ともうひとつの面を塗るための準備です。
(4) 側面に膠水を塗ります。刷毛に含ませる量が多すぎると垂れてしまうので注意します。垂れてしまた場合は、素早くぞうきんで拭き取ります。
(5) 画鋲を刺した面を下にして、残ったもう1面を塗ります。この時も均一になるように気をつけます。特に、時間が経ってくると膠水の温度が下がって粘度が増し、厚塗りになりがちです。刷毛の動きが重くなったと感じたら、膠水をもう一度湯煎した方が良いでしょう。
(6) この状態で一晩乾燥させれば、木材からの「ヤニ」を止め、接着剤が基底材にしみ込みすぎるのを防ぐための、膠の層(絶縁層と呼びます)が出来上がります。余った膠水は、ラップをして冷蔵庫で保管します。
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