アール・ブリュット

2018年1月3日

「ハウス・オブ・シセイドウ」で開催中の「生の芸術アール・ブリュット」
展を観た。アトリエのスタッフが、芸術新潮で特集されているのを教えて
くれて興味を持った。新潮に掲載されている写真もすごかったが、実際に
実物を目にすると、やはり常人ではかなわない迫力を感じた。
アール・ブリュットとは、ジャン・デュビュッフェが精神病患者や霊的幻
視者などの作品を肯定的に評価するために用いた言葉だ。デュビュッフェ
は、これらの人々の作品を「もっとも純粋で、もっとも無垢な芸術であり、
作り手の発想の力のみが生み出すもの」であると主張した。
会場には「生の芸術」があふれていた。中でもヘンリー・ダーガーとオー
ギュスタン・ルサージュには衝撃を受けた。ダーガーの作品は「非現実の
王国で」という15,000ページを超える物語に添えられた、数百枚の
挿絵の中の何枚か。完全に倒錯した世界観が観るものに訴えかけてくる。
元炭坑夫だったルサージュは「神のお告げ」で絵を描き始め、生涯800
点を超える作品を残した。展示されていた作品には、装飾的なパターンが
常軌を逸した細密さで描き込まれていた。この人たちが現代美術に与えた
影響は小さくない。そう思えた展覧会だった。
用語については「ArtWord」現代美術用語集を参照しました。
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