「酒井式」…?
「酒井式」という美術・図工メソッドがある。イッテンシューレやバウハ
ウスでさえ天才は輩出していない。いかに優れたメソッドでも、個性の力
にはかなわないのだ。だから「~式」というのは、絵を描くのが苦手な子
どもに「なんとか描けた」という充足感を与えることが目的なのだろう。
僕が「酒井式」に出会ったのは、Web上だった。小学校で木版画の授業
を手伝うことになり、小学生向けの題材や手法を調べているときに遭遇し
た。微に入り細に入った説明に、「ここまでマニュアル化すればきっと失
敗作が減らせるだろう!」と妙に感心したのを覚えている。
ところが、他のページを読みはじめると「?」がわいてきた。描き方の指
導オンパレード。構図まで指定している。描写とは、描く人の対象の見方
とイコールのはずだが、それに対する配慮は感じられない。これでは対象
を観察して初めて出会う発見や驚きの芽を摘み取ってしまう。
この方式の推奨者の方々は、結果を早急に求めるあまりに目的を見失って
いるのではないだろうか?振り返って、自分たちのことを考えると、他人
事だと言ってはいられない。合格という果実を求めるがあまり、方法論ば
かりを教え込んでいないか!?安易な妥協を戒めなければならない。
関連サイト
>酒井式ハンドブック
>美術と自然と教育と
>おおはしわあるど=ブログ=
ディスカッション
コメント一覧
なんで決められなきゃいけないの?(酒井式描画指導法)
酒井式描画指導法について、あちこちに書いております。 酒井式描画指導法を受けた子
イワサキさんも声をあげてくれてとてもうれしいです。
いろんな方々がいろんな場でこうやて発信していくことは、やがて大きな力になっていくに違いないと思っています。
そして「自分たちのことを考えると、他人の事ばかり言ってられない」ということに共感します。
これが幼児の絵!? 魔法の酒井式描画法
本当に驚きました!酒井式がついに2歳児までおりてきていたのですね。
「これが幼児の絵!?魔法の酒井式描画指導法」(明治図書)
今、本気で本気で驚いています。もう言葉もありません。実は酒井式についてこうやって書いていることは世間で言われるバッシングみたいでいやだなと思っていたわけです。
が、これはもはやNHKのディレクターが言っていたように「いろいろな指導法があっていい」を越えています。
「2歳児でもこんな絵が描ける!白鳥幼稚園で取り組んだ酒井式描画法の実録。幼児を対象にした酒井式の指導ポイントを詳しく紹介。第1章は酒井式の基本??顔の描画法、第2章は年齢別全20のシ…
なんだか、あっちこっちで声があがってきていますね。全体から見れば小さなものかもしれませんが、うねりのようなものを感じます。
うちのスタッフにも「酒井式ハンドブック」のページを見せて「これからは、こんな教育を受けた学生が入ってくるかもしれない!」と危機感を伝えています。
2歳児に対する絵の指導は本当だったんだ!…NHKへの疑問
実は「これが幼児の絵!?魔法の酒井式描画指導法」(明治図書)で一部の記事が読めるようになりました。やはり2歳児は本当でした。そしてその絵を見て、あらためて驚くとともに、子どもに悲劇が起こっていると感じました。
その中から酒井臣吾氏の言葉を引用します。
「ついに私は幼児に対する絵の指導法を発見した。そして今それが全国で実践されはじめている。」
「私は四十年間、何千枚万枚の子どもの作品を見てきたからであろう。
明確な意図を持って指導し、その作品を見ているうちに、作品の奥にある子どもの心を読みとることができるようになったのである。」
この酒井臣吾氏と共同で番組制作を…
初めまして、酒井式を調べていて、山崎先生のところからたどり着きました。
僕は松戸在住でフルタイムの画家、イラストレーターをやりながら、週に一度高校の美術の非常勤講師をしているものです。
この酒井式は問題が多いものだと思います。美術だけではなく、それ以外の人間形成の部分にも悪影響が出るのではと考えてしまいます。
まだまだ勉強中ですが、これからもよろしくお願いいたします。
美術の授業3
二週間ぶりに非常勤講師の日。 先週はアメリカに行っていたこともあるのだけど、中間…
corvoさん。はじめまして。松戸在住ですか。地元ですね。
酒井式とかキミコ式とか、~式ってつくと眉につばをつけないといけないのでしょうかね?どうせ方法論を押し付けるのなら、もっとアカデミックなものでやればいいのに・・・
「芸術はインスタントではない」=「人生はインスタントでない」っていうことに気がつけば、こういった手法を採用することはないと思うんですけどネ。
これからもよろしくお願いします。
イワサキさん、こんばんは。
何かを習得するのに、そうそう簡単な方法があるものではありませんよね。簡単に短時間で出来ることが是であるというのでは、あまりに悲しすぎます。
アカデミズムは大切なものだと思っています。でも、アカデミックに教えるとなると教師の力量も必要になってくると思います。
子供たちへの教育とともに、教育者の人材育成も充実させていかないと頭打ちになってしまうでしょうね。
酒井式でやってました。電柱のある風景はよかったと思います。子どもが集中して描いていました。ただ、低学年の絵はどうも・・・。全部同じ絵に見えてしまいます。不勉強で美術教育はよく分からないのですが、全員がほとんど同じ絵になるというのはやっぱり異常だと思います。それでも酒井式賛同派は一人一人個性があるというのでしょうが。絵を描かせることの意味を勉強したいです。
小学校教員さん。はじめまして。
コメントに触発されてひとつ記事を書いてみました。
http://hideta.seesaa.net/article/15948663.html
酒井式云々に関しては、何の為に図工や美術の時間があるのかという、いわば「教科としての存在理由」がぶれているところに問題があるのではないかと思っています。
http://hideta.seesaa.net/article/9298555.html
よろしければ、またご意見ご感想を下さい。今後ともよろしくお願いします。
はじめまして。現在県立高校にて,美術講師をしております。只今教員採用試験直前!
酒井式の指導に疑問を感じている者の一人です。指導するものとして,あそこまで細かすぎる指示,指導は没個性化?になりかねません。そのような生徒たちの表現を見る側,評価する側として,楽しみがなくなってしまう気がしてなりません。輪を掛けて,「個性」を重視する教育を!と文科省は大きく取りあげているいうのに・・・。
(北海道の)山崎さんは配慮された文章を書きつづられ,私は感心しました。私は,ストレートに
ブログに綴ってしまいました。私自身の気の短さが,文章となり,反省しております。
学校の先生方のご丁寧な指導も大切ですが,全て平等な立場で,学習させることに疑問を抱きます。同時に,何故描けないのか?表現できないのか?など,もっと教師自身が指導方法を考え直すこと,深く考えることが大切だと,私は考えます。一人ひとり作業手順も違って,表現も違ってこそ,個性が表れて面白い表現を見つけられるのではないでしょうか。
hakusukeさん、コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、人は一人一人違った性格や能力を持っているので、「全て平等な立場で、学習させる」ということはナンセンスですね。
ひとり一人をよく観察して、その子の成長のために本当に必要な刺激を与えていくのって、無茶苦茶大変な作業ですが、教える側として常に意識し努力していきたいと思っています。
採用試験ガンバッテッくださいね。