シンクロ
夕方、京都精華大学の教授が営業にみえた。なんでも、芸術学部のデザイ
ン学科とマンガ学科が学部に昇格するのだという。今は、大学も学生集め
のための営業活動は欠かせない。うちのような零細予備校にもちゃんと説
明にきてくれる。居ながらに情報が得られるのはありがたい。
マンガを学部単位で扱う大学は、ほかにはないのではないか。学部の中に
は、マンガ学科、マンガプロデュース学科、アニメーション学科の3つの
学科ができる。原作づくり、編集、評論など「描く」以外の分野でマンガ
文化を支える人材を作ろうとしているところに新しさを感じた。
その日の夜に、以前僕の担当だった学生が進路について相談にきた。今は
デザイン工芸科に所属しているが、本当はマンガがやりたいのだという。
自分の将来を高校3年生になったばかりの段階で、決めてしまうのは難し
い。学年の途中でコースが変わることも当然あり得ることだ。
マンガ関連の進学となるとなると、デザイン工芸科では対応できない。そ
こで、総合受験科へのコース変更をすすめた。それにしても不思議な縁だ。
さっそく、京都精華大学の例を出して、将来にはいろんな選択肢があるこ
とを説明する。この変更が学生にとって良いものであればと思う。
ディスカッション
コメント一覧
マンガ学部には驚きました。中学校の学習指導要領でも取り上げられていますけれど。なるほど、描く以外の人材も育てるのですか。
それにしても不思議な縁ですね。最後の一文「学生にとってよいものであればと思う」なんか、いいです。温かさが伝わってきます。
山崎さん、コメントありがとうございます。
コミック制作の現場では、美大出身の編集者がそうではない漫画家について、デッサンの狂いを指摘するなんてこともあるそうです。
一度、うちのアトリエの無料デッサン教室にプロの漫画家が参加したことがあるのでしたが、それも編集者に勧められてのことでした。なんとも???な感じでした。
今の子どもたちにとって、マンガやアニメはとっても身近なものです。そこから、表現というものに出会うことが多いでしょう。でもそこにだけ留まるのではなくて、古典も含めていろいろな表現に触れてほしいと思っています。