促成栽培
2012/01/16
僕の受け持っている中学生のクラス。今年度は東日本大震災の影響か、専門コースの高校バブルがはじけたのか、中学3年生の数が極端に減りました。受験を目的としない中学3年生や習い事感覚で来ている1、2年生はいるのですが、これまでにない状況にどうしたものかと思っていました。
とは言え、受験を目の前に控えた冬期講習会には、これまで本格的な実技の勉強をしてこなかった中学3年生が多数受講し、賑やかになりました。この冬期講習。3日1単位×3単位の短期講座で、ほとんどの受講生は1単位のみの短期受講だったので、指導する側としてもプログラムをみっちり練って、短期集中で授業に当たりました。
美術高校受験レベルの実技試験では専門的で深い内容は問われないのですが、それでも2点透視図法や円柱の捉え方、明暗法における明部、暗部、反射光といった要素は最低限教えなければなりません。
これらの事を知識として講義型の授業で提供する事はさほど難しい事ではありませんが、それがデッサンや水彩といったアクションに結びついたカタチで吸収出来るかどうかは、個人差も大きいですし、一筋縄ではいきません。そんなかんなで、週1回3時間のクラスでもいいから、せめて3ヶ月あればもっと理解を高める事ができるのではなかったかと、ジレンマの中で授業を行いました。
「安く、早く、簡単に」成果が上がれば、ユーザーとしてはそれに越した事はないでしょう。しかし、20年もの間この業界で学生たちを見てきた経験から考えれば、世の中はまっすぐではありません。促成栽培の歪みが後からあらわれないか、危惧しながらも受験屋さんとしてクライアントの要望に応えていく。なんだかモヤモヤしているこの年末年始です。
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