そこは削るところかい?

2018年1月2日

2011/10/25
失われた10年が20年になり、不景気な気分が続くこの国では、20代の若者達は「この先一生贅沢はできないと思っている」という記事を、新聞、雑誌で目にすることがあります。バブルを経験した我々世代でも「あの時代はもう戻らない」と感じているのですから、それも当然のことなのかなと思います。
お付き合いの有る画材屋さんでは、「以前に比べて画学生が画材を買わなくなった」という嘆き節をよく聞きます。画材は高価なもの。特にプロ仕様のものは、義務教育で使うそれの何倍もします。100均で3本100円で買える鉛筆が1本120円以上するとなるとスポンサーである親御さんは「なんで?」となるのかもしれません。
ただ、将来それを生業にしようという者にとって、道具はまさに命。3本100円の鉛筆と1本120円のそれでは、全くクオリティーが違います。「弘法は筆を選ばず」という諺もありますが、天才ではない画学生にとっては全く当てはまりません。「水は低きに流れる」あるいは「朱に交われば赤くなる」の諺のように、レベルの低い道具は使う側をそのレベルに引き込むと思っています。
これから勉強を始める学生だからこそ、手に触れる画材はプロの手によるものであって欲しいです。いいものを使わなければ、物の良い悪いはわかりません。暇つぶしの趣味ならいくらでも節約していいでしょう。しかし、人生をかけるのであれば、そこは削るところではありません。そう、「自分に投資せずに見返りを求めるのは、甘え以外の何者でもない」のですから。
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