色が苦手

2018年1月3日

2007/11/01
中学生のクラスを本格的に開設してから4年目になり、教える側も大分落ち着いてきました。最初は、どのくらいのレベルに課題内容を設定していけば良いのか、またクラス運営をどうするのか手探りでいろいろと悩みました。しかしそれまでずっと見ていた高校生以上とは違う学年を教えることで、いろいろと新しい発見がありました。
最近感じているのは、鉛筆を使った描写はとても上手なのに、絵具に苦手意識を持っている子が多くなって来ていることです。特に混色については、おどろくほど知識がなかったりします。以前なら、補色や同系色などといった言葉は知らなくても、体験的に「この色とこの色を混ぜれば濁る」とか、「白を混ぜると明るくなるけどその分鈍くなる」という知識をその子なりに持っていたと思うのですが、それが無いのです。
話を聞いてみると、鉛筆はイラストやお気に入りのキャラクターを真似て描いたりするときによく使うが、水彩画の経験は授業も含めてとても少ないということです。小中学校で2時間続きの図工・美術の授業を確保しづらくなっているということなので、それも大きく影響しているのかもしれません。
色を使えない人生と使える人生なら、絶対的に後者の方が楽しいし、他人も楽しませることができます。チューブから出した絵具そのままを使っていたり、混色が単調で色味の幅の乏しい作品を見ていると、色に関する感受性の高い時期に、もっと絵具に触れる体験があった方がいいのにと思います。
中教審の部会報告で「ゆとり教育」を見直し、理科や数学の授業時間増、英語の小学校からの必修化など、学力向上に向けての現段階での方針が示されたようです。まだ紆余曲折があるでしょうが、コミュニケーションスキルとしてのアートやデザインという位置付けから、図工・美術教科への配慮も実現してほしいものです。
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