週1時間(45分)の美術

2018年1月3日

先日、私立中学校で美術の非常勤講師をやられている知人と酒席を囲む機
会があった。彼女の勤務校では1~3年生まで、美術は週1回、45分の
授業しかないとの事。さてそれで何が出来るか…?僕が教える側だったら、
せめて連続2時間の授業は確保してもらわないと困る。そう思った。
山崎先生のサイトなどで「図工・美術教育の危機」といった話題に触れる
機会はあったが、面と向かって現場の先生の話を聞くと危機感が増してく
る。算数のドリルなら朝礼前の10分でも効果があるだろうが、美術・図
工はいわば「スローフード」。時間をかけなければその効果は現れない。
例えば45分の授業で油絵に取り組むと、最初と最後の10分は道具の準
備と片付けに費やされる。描いている時間はたったの25分。これでは、
面白さが味わえない。自ずと取り組みは消極的になる。そのためか、アト
リエに通う学生のほとんどが、中学・高校で油絵具に触れた経験がない。
その反動か、絵具を貸し出しての油絵の体験授業はとても人気がある。学
生は好き放題に絵具を絞り出してキャンバスに擦り付ける。稚拙な表現と
いえばそれまでだが、色への飢えを解消しようとしているようだ。絵具と
時間を使って画面と格闘する。これが大切なんだけど…