東北芸術工科大学卒業制作展
2月26日(水)は、リサーチも兼ねて様々な専門学校、美術大学の卒業制作展を見て回りました。そのなかで、衝撃を受けたのは、東京都美術館で開催されていた「東北芸術工科大学 卒業・修了展」です。
我々は、受験予備校という立場上、どうしても大学のランクを受験倍率で判断しがちです。
東北芸術工科大学は、名前を書けば入れる大学があちこちに出てきている中で、しっかりと入試はおこなっていますが、ちゃんと準備をしておけば、正直、それほど難易度の高い大学ではありません。ところが、今回の卒業制作展の展示を見て、これまでの認識が大きく変わりました。展覧会としてのクオリティーに、興奮を抑えることができなかったのです。
このあと、新美術館で「5美大展」も観たのですが、正直な感想として、展覧会としてのパワーで完全に負けていました。
同じ20代前半の人たちです。技量でいえば、それほど差があるとは思えませんし、個々人としてはすごく良いものを持っている人も見受けられました。しかし、会場全体から伝わってくるパワーが違うのです。東北芸工大が先生も学生もチームとして一発当てに来ているのに対して、5美大展は学生達がそれぞれ個人で戦っているような印象です。(ただし、女子美の展示には戦略が感じられました)
展覧会のレギュレーションの問題で「東北芸工大=∞」、「5美大=S100号まで」みたいなものはあると思いますが、学部の卒業制作で横幅6m50cmの作品を描くだけのスペースと時間を確保していることに、卒業制作展にかける大学側の意識を感じます。それは、会場に置かれていた「だれでもはじめはヘタクソ」という冊子に掲載されている宮島達男副学長の「(天才ではない)99%のための芸術大学」という文章からも伝わってきました。
ひょっとして、これは新しい美術、芸術大学のあり方を示しているのかもしれないと思った展覧会でした。
入試倍率の低下が著しい中、関東の有名私立美大および東京芸大も、本気でこれからの教育のあり方を考えなければ、その立場を維持することはできなくなってきていると切に感じました。
ディスカッション