光 松本陽子/野口里佳

2018年1月2日

2009/10/12
国立新美術館で開催中の「光 松本陽子/野口里佳」を観ました。松本陽子さんは、学生時代からずっと好きな作家でしたが、これまで作品をまとめてみる機会はありませんでした。野口さんは雑誌などで存在は知っていましたが、作品を実際に観るのは今回が初めてです。
なかなか見応えの有る展覧会でした。野口さんの作品は、光や色味に独特なものを出しつつも、技術と知識に裏打ちされた確固とした構図によって、表面的な表現に終わるのではなく、説得力を持っていました。なにより、富士山登山やベドウィンの集落など、ステレオタイプ的になりがちな素材も、そこにいる撮影者自身の自然な興味の方向をそのまま画面に納められているところに、共感を持ちました。
松本さんはずっとアクリル絵具による大画面の制作を続けられていたのですが、キャンバスを床に寝かせて水で薄く溶いた絵具を塗っては拭き取るという作業が肉体にきつくなり、画面を立てて描くことの出来る油彩に戻ってきているそうです。だからといって作品のクオリティーが下がる訳ではありません。70を過ぎてあの制作意欲。頭が下がります。
アクリル絵具による連作に取りかかる前は、油絵具を用いて赤や青を使ったありがちな抽象絵画を描いていたそうです。しかし、色彩や線など、とにかく「誰も観たこともない絵を描きたい」と思い、桃色や紫を主体としたあのスタイルに行き着いたそうです。
その結果、画面はまさに光り輝いているような印象をたたえています。「絵具そのもので勝負!」そんなところにもシンパシーを感じます。僕も「誰も描いたことのない青い絵を探してみよう」そんなことを考えました。
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今日の一枚「さつまいも」
エントリーとはまったく関係ありませんが、秋の味覚ということで…。
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