生物と無生物のあいだ

2018年1月3日

2007/09/22
青山学院大学教授で生物学者の福岡伸一氏の著書「生物と無生物のあいだ」を読みました。これは氏曰く
「これはわたくしが、なぜ、生命という現象に興味を持つに至ったのか内省的に振り返りつつ、あまねく世界に浸透している機械論的な生命観(この考え方が、狂牛病問題や遺伝子組み換え、臓器移植を是とする通奏低音となっているわけですが)の由来と成り立ちをいま一度、批判的にあとづけたものです。その上で、動的平衡論に基づく有機的な生命観という、古くて新しいパラダイムのルネサンス(復興)を論じたものです。
 現時点でわたくしが考えるところの”生命とは何か”について、可能な限りのベストを尽くして書きました。」(公式ホームページより)
と断言されるだけのことはあり、読み応えのある秀逸な一冊でした。
「動的な平衡状態」とは「外見的には一定の形態を保っているが、分子レベルでは秒単位で新しいものと入れ替わり常に更新されている状態」とでも説明すればよいのでしょうか?なんだか、「流れ、渦巻き、通り過ぎていく、生命を形作る何かが残した痕跡を平面上に表現したい」という自分自身が絵画作品に取り組んでいく動機付けの部分と感応して、サイエンスノンフィクションでありながら、ずいぶん感情移入して読みました。
「生命とは何か?」と言う根源的な問いかけについて考えさせられる一冊です。昼間部生対象の朝自習の教材としてそのプロローグ部分を使おうかと思います。アーティスト、デザイナーとして不可欠な、自分の存在の根源まで思いを馳せるような、豊かな好奇心を育むことにつながればと思います。
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