市川友章展

2018年1月3日

銀座のギャラリーアートポイントで開催中の、市川友章展にお邪魔した。
彼の作品を観たのは芸大の修了制作が最初で、その時は、ベラスケスの名
作「ラス・メニーナス(女官たち)」の登場人物を「キンケシ(キン肉マ
ン消しゴム)」に仕立て、画面上に浮遊させている絵画作品だった。
今回の個展には、身近な家族やペットの肖像画が多く展示されていた。モ
デルたちは、ベラスケスが王族を描く時のような華美な衣装を着けている。
フェレットやフレンチブルドッグ、彼の奥様や父君がティアラやレースの
首飾りををつけてポーズをとっている姿は、ある種微笑ましい。
展覧会の紹介文によれば、彼はベラスケスをこよなく尊敬しているという。
しかし、ベラスケスの描いた王族は現代にはいない。そこで彼は身近な家
族やペットを王様や女王のごとく飾り立てて描くことを思いついたのだそ
うだ。なるほど、なんとストレートな表現なんだろう。共感を覚えた。
モデルたちは彼にとって、とてもリアルで表現せずにはいられない対象な
のだろう。そして、それらをベラスケスの写実によって描ききることで、
作者とモデルとベラスケスの三角形の関係性が成立しているのであろうか。
今までより、一歩彼の作品に踏み込めた展覧会だった。