魔物
2011/02/09
試験ネタです。
僕が受験指導を始めて3年か4年くらいの駆け出しの頃の出来事です。その年の浪人生は人数は少なかったのですが、田舎者の純粋さ故、何事にも真っ正面から向き合ってハードルを越えていく、すごく期待していた学年でした。
その中でもエースと期待していたAが、ムサビの油絵の試験のあと、泣きながら帰ってきました。なんでも、友人から借りたオイルを使ったら、試験の中盤で画面が溶けて流れ落ちてしまったとのことでした。
油絵具は乾燥が遅いので、受験生たちは試験時間内に少しでも絵具を重ねて複雑な表情を出そうと、速乾剤やら樹脂、体質顔料を使って、自分なりの絵具の重ね方を編み出して試験にのぞみます。Aもそのプロセスを確立していたのですが、たまたま試験前日に自分のオイルを使い尽くして、友人からお裾分けしてもらったものを使ったがために、そのプロセスが台無しになったのです。
日頃から、道具の貸し借りは禁止していたこともあり、かわいそうだとは思いましたがAを叱りました。なんで自分で用意しなかったのかと。。。
仲のよかった仲間です。本人としては、お隣にお醤油を借りにいくような感覚でやっていたのでしょう。でも、結果に対して全て自分で負わなければなりません。魔物がどこにいるのか?、そういった想像力を働かせることが出来るかどうかは、入試だけでなく、先々の制作活動に大きな違いをもたらすような気がします。
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