アトリエでは、若手クリエーターを招いて「表現とは何か?」をテーマに
ワークショップを行っている。これまで来ていただいた方々は、阿佐ヶ谷
スパイダーズの長塚圭史さん、写真家の藤里一郎さん、珍しいキノコ舞踊
団、コンドルズの近藤良平さん、ドラフトの柿木原政広さんなどなど…
いやはや、そうそうたる顔ぶれだ。彼らと同じ空間の中で制作できた学生
達は、本当に貴重な体験をしたと思う。今年はテレビ朝日「SmaSTA
TION」やNHK「みんなのうた」で活躍中のCGチーム「AC部」の
板倉俊介さんにキャラクターデザインのワークショップをお願いしている。
その板倉さんから、これまでの作品を紹介するDVDが届いた。彼らのプ
ロフィールにある通り「濃厚なイラストレーション、写真、実写動画など
の素材を自在にミックスし、ハイテンションかつハイデンシティ(高密度)
な構成で見る者を異空間へ引きずり込む、新世紀のCG」映像作品だ。
授業の終わったアトリエで再生していると、学生達が集まってきて興味深
く見ていた。「ワークショップでは、この映像の作者の話を聞いたり一緒
に作品を作ったりするんだよ」というと驚いた様子。板倉さんに来ていた
だくのは9月25日。当日どんな作品が出来てくるか、今から楽しみだ。
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コピーとオリジナル
アトリエに通う学生の中には、映像作家やマンガ家を目指す学生もいる。
彼らの作品を見せてもらうと、往々にしてオリジナルストーリーの、いろ
んな意味で独りよがりな作品が多い。それが若さだと言ってしまえばそれ
までだが、あまりに見る側を意識しないものは作品として成立しない。
そんな彼らの作品を見ながら、高校時代(20年以上前だ!)ヤマハ楽器
主催のEastWestの地方大会に出た時、ゲストのPRISMのベー
シスト渡辺健さんの「下手なオリジナル曲やるんだったら、コピーをやっ
た方がいい」というコメントを思い出した。
「世の中にはすばらしい楽曲がいっぱいあるんだから、それをちゃんと解
釈して自分なりに演奏することが勉強になる」という意味だっただろうか?
そう考えると、古典的な文学作品などを自分なりに解釈してマンガや映像
の手法で表現するということも、有効な勉強方法だろう。
絵画の勉強に模写やデッサンがあるように、ジャンルごとに下積みの練習
期間のような時期があるだろう。そんな時期に横断的に様々な表現に触れ
ることは大切なことだ。その上でただのコピーで終わるのではなく、自分
のものにしていく展開力を育てるような授業が必要になってくるだろう。
エントランス模様替え
アトリエのエントランスで飼われているインコは、学生達のマスコットだ。
見ているだけで心和むのか、休憩時間など覗き込んだり話しかけている学
生を見かける。そのインコも連日の暑さにバテ気味だ。冷房もなく、直射
日光が入ってくる窓際に鳥かごがあるという環境は、つらいものだろう。
エントランスにはモチーフ用の鉢植えなどもある。動物や植物のあるエン
トランスというのはすてきだが、ちょっと気を抜くとすぐに乱雑な印象に
なってしまう。それに慣れてしまうのも問題だ。インコの生活環境改善を
きっかけに、若いスタッフにも手伝ってもらって模様替えを行った。
近くのホームセンターで整理用のラックとガラス用UVカットフィルムを
購入。まずは見苦しくないように鉢植えを配置し直し、鳥かごも窓際から
離す。遮熱・UVカットフィルムは、紫外線を99%カット、遮熱効果8
度(!?)というすばらしい効能書き。取り付けも水だけで貼れるという。
980円というお手頃価格に、買っては見たものの効果については半信半
疑だった。しかし、貼り終わってみると夕日の差し込む時間になっても肌
にあたる日差しが柔らかい。エントランスに開け広げられた事務室の温度
も少し下がったような気がする。これでインコも元気になるだろう。

夏休みの日曜日
講習会中日の日曜日。のんびりと起き出す。今年は高校総体が千葉県で行
われている。松戸市でもフェンシングと自転車競技が行われる。会場は松
戸市運動公園体育館と松戸競輪場。今日はフェンシングの競技日らしく、
お昼前に最寄りの北松戸駅にいくと、案内ブースが設置されていた。
ブースのお向かいには、「ポケモンスタンプラリー」のテーブルが。夏休
みの日曜日ということで、父親と子どものグループが多い。夕方には列が
出来るほどのにぎわいだ。駅で小耳に挟んだ親子の会話「仕事がなかった
ら毎週つきあってあげられるのだけど…」と哀愁漂うお父さんの言葉。
アトリエで学童の父母会名簿をシュレッダーにかける。昔の書類を山のよ
うに抱え込んでいたのだが、もういいだろう。帰りに柏の新星堂でクレイ
ジーケンバンドの「ソウルパンチ」と「あぶく」を購入。日本人ミュージ
シャンで常に最新のものに触れていたいと思える数少ないバンドだ。
今年の夏は、家人がベランダで育てたゴーヤが食卓によく上る。スーパー
で買うものに比べて小振りだが、採れたてのものは程よい苦み、甘みがあ
り食感もよく美味い。この夏のちょっとした贅沢だ。家人に感謝。8月に
なり葉も落ちてきた。後どのくらい実を付けてくれるのだろうか?

ベランダのプランターに実ったゴーヤ。
説明責任と優先順位
夏期講習会も半ば。連日の暑さも手伝って体調を崩す学生もチラホラ見受
けられる。体が資本。まずは食生活を充実させ、十分睡眠をとることが大
切だ。また、どのような理由であれ遅刻、欠席をする時は事前に連絡を入
れること。これは最低限のマナーとして守るように指導している。
しかし、欠席や遅刻の連絡を受けたとき、理由を尋ねると「ちょっと用事
が…」と言葉を濁す学生がいる。受験生とはいえ、家族や高校のクラス、
部活動と様々なグループに所属している以上、予定がかち合うこともある
だろう。しかし、体は一つ。何かしら優先順位をつける必要がある。
当然自分で順位をつけていくのだが、その結果について相手にちゃんと説
明しなければならない。その辺りのことで行き違いが起きると、信頼関係
は成り立たない。人間関係がギクシャクすると、上手くいくはずのものも
いかなくなる。その辺りのことが彼らには、まだ分からないのだろう。
相手の立場に立って、自分の立場を分かってもらえるように説明する。こ
れはコミュニケーションの基本だ。作品作りやデザインの仕事に通じるも
のがあるはず。説明責任を果たす。そんな当たり前のことに、意外と制作
者としての自覚のを促す何かが隠れているのかもしれない。
花村泰江展
8月2日に吉祥寺のGallery惺(SATORU)で開催されていた
「花村泰江展」にお邪魔した。彼女は学生時代から身近な生活必需品をモ
チーフとした木版画を制作している。今回の展覧会もその流れにそったも
のだが、会場には今までにはない様々な技法を試みた作品が並んでいた。
これまでの作品は一般的な木凸版の技法で、水性のインクを用いて刷られ
ていた。しかし、今、彼女は木版画における新たな表現手法を模索してい
ているのだと言う。その一つが木凹版とコラグラフの技法を併用した一版
多色刷りで、これらの作品群が特に目を引いた。
作品を一通り見て「これってコラグラフ?」と聞くと「筑波の人は一目で
コラグラフって分かるのよね」と彼女。僕の前にきていた日本画の先輩も
分かったのだという。同じ先生の授業を受けていれば、知っている技法も
似てくるもの。やはり教育を受けた場と言うか環境というのは大きい。
自分の教室で先月コラグラフを取り上げた事もあり、製版からインク詰め、
刷りに至る様々な事について話した。さすがに版画の専門家として大学で
教鞭をとっているだけあり、銅版画の手法を応用した表現やインクの固さ
を変えて刷る方法など大変面白かった。自分の教室でも紹介してみよう。
緊急連絡
7月30日に岩崎の携帯にお電話いただき、留守電にメッセージを残された方。
大変申し訳ありませんが、私の操作ミスでメッセージを確認する前に消去してしまいました。また、当時電波の届かないところにいたため、履歴も残っていないのでこちらからお電話する事もままなりません。
お手数ですが、もう一度ご連絡ください。お待ちしております。
美しき魂の素材「女流三人展」
銀座のNICHE GALLERYで開催中の[美しき魂の素材「女流三
人展」]を観た。この展覧会には高校・大学院の先輩である堀部由佳子さ
んが出品されていて、招待状をいただいた。案内状曰く世代も表現方法も
違う3人の女性作家の作品を集めた実験的な展覧会だ。
海江田波留美さんは書の作家。抽象書を間近で見たのは初めてなので、ど
う鑑賞したものか戸惑う。絵画と同じようには行かない。丹野有美子さん
はミクストメディアの作品。セッションハウスのギャラリーでも発表の経
験があるという。そういえば、かみさんの公演のときに見たことがあった。
堀部さんの作品は、前回の個展に出品していた作品を発展させたものとド
ローイング。日々制作している感じがよく伝わってきた。この3人の中で
堀部さんが一番若い「アニメーション世代」と紹介されていた。たしかに
僕ら世代は物心ついたときにはアニメーションを毎日のように見ていた。
こうした視覚体験が作品に及ぼす影響はきっと強いのだろう。確かに、全
体としては絵画表現が網膜的な方向に向かっている気はする。絵具の物質
性や構築性よりも意味や物語に興味が向いているのかもしれない。僕らよ
りも下の「コンピューター世代」ではどんな表現になるのだろうか?
ブログスタート
8月1日、受験部の学生による自由制作展「裸侍魂(らじこん)」を紹介
するブログがスタートした。この運営も学生の実行委員があたる。ブログ
は講師の目から見たのではなく、現場にいる学生達の視線で情報発信して
いこうというのが趣旨で昨年から始め、今年で2回目になる。
昨年は初めての試みという事でレクチャーに時間がかかったが、今年の実
行委員にはブロガーがいた。何でも昨年の実行委員が楽しそうに、かつ真
剣に書き込みをしている姿を見て、自分でもやりたくなったのだという。
おかげで手がかからない。小さな事だけど、これも伝統なんだろう。
同時にメインサイトの自由制作展ページもリニューアルした。ちなみにD
Mでも使われている絵具まみれのふんどし侍は、実行委員のK君。生まれ
て初めてのふんどし体験だ。この撮影のために、ネットで締め方を調べて
の挑戦だったという。やっぱり体を張らなければ面白いものはつくれない。
屋上に模造紙を敷き詰め、自作の巨大な筆にペンキを付けて実際に「裸侍
魂」と書く。合成ではない、生のリアリティーが大切だ。これからほぼ毎
日ブログは更新される。出来上がった作品とそのプロセスと、今その場に
いるリアリティーを大切に、学生達には制作と情報発信に励んでほしい。

左がメインサイトの自由制作展ページ、右が裸侍魂ブログ
学童合宿(第2日)
朝は子ども達に起こされ朝食前の散歩から始まる。3時過ぎまで飲んでい
たアルコールを抜きつつ11人を連れて工事中のトンネルに向かう。朝の
風が気持ちいい。子ども達が朝日の中をふざけながら歩いている姿は、ま
るで映画のよう。ビデオカメラを持ってこなかったのを悔やむ。
朝食後は班ごとに分かれてハイキング。4年前も同じコースを辿っていた
はずだが、よりきつく感じる。肩で息をしながら目的地の河原につく。昨
日よりもさらに上流なので水はより冷たい。4年生以上の班は早くついた
ので昼食前にひと遊び。そうしているうちに、1~3年生の班も続々到着。
昼食後、今度は全員で川に入る。なにぶん大人数故安全確保は欠かせない。
保護者もほとんど水着になり川に入る。子ども達は浮き輪に腰掛けて川下
り。前日の父母懇親会のおかげで初めて参加の1年生の父母やボランティ
アの大学生も馴染んできた感じで、大いに川遊びを楽しんだ。
ひとしきり遊んだ後はいったん宿に帰り、お礼を言って帰路につく。帰り
のバスではビデオ鑑賞。学童到着、諸連絡の後解散。この日、近くのコン
ビニで夏祭りが開催されている。子どもも親も再集合し、祭の一隅が合宿
の反省会に早変わり。さて、来年はどんな合宿になるのだろうか。