本末転倒

2018年1月3日

うちのアトリエに通う学生や、その親御さんと話していて思うこと。
「アーティストやデザイナーになりたい」。そこまで明確でなくても「絵がうまくなりたい」といった単純明快なものではなく、「どこそこ大学に合格したい」という目的で、美術予備校の門を叩く学生が多くなってきています。当然僕たちは「受験予備校」な訳で、高校から大学への橋渡しをするという本来的な業務から考えれば、当然なことかもしれないけれども「何かが違う」と感じています。
アートやデザインの世界は広くて深く、一朝一夕に極めることなどできません。いわば芸事の世界です。生活全体が芸の支えとなり、人生のおめでたいこと、悲しいこと全てを肥やしに一生精進しなければ観客を楽しませることなど出来ないでしょう。とにかく「芸術は長し、人生は短し」なのです。そういった意味で、「必要な技術や要素を部分ごとに買い揃えれば良い」と言った現在の潮流の対極にあります。
近年の大学におけるデザイン・メディア系学科や美術高校の新設も、選択肢が増えるという意味では歓迎できますが、そこに通う学生自身がちゃんと先を見て学ぶ姿勢をもっていないと、表面的な技術を身につけただけで、本質的な「生きる力」まで考えずに終わってしまうのではないかと思います。進学はゴールではなくて、あくまで通過点でしかない。そんな当たり前のことをちゃんと伝えていかなければならないと思います。
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