展覧会巡り

2018年1月3日

2007/09/24
「芸術の秋」ということなのでしょう。知人の所属する公募団体展の招待状や個展の案内状がいつにも増して届きます。今日は上野の東京都美術館で開催中の「青枢展」、六本木の国立新美術館の「新制作展」「行動展」、公募展ではありませんが銀座1丁目のギャラリー福山での「渡辺淳写真展」に御邪魔しました。
青枢展の招待状には、松戸美術会や人あつまり会でお世話になって来た渡部健三さんの作品が使われていました。渡部さんは今年になって大病をされて制作活動を辞めてしまおうかとも考えられたそうですが、しっかりと出品されていて特別賞まで受賞されていました。頭が下がります。若い会ということもあり、技術的に難のある作品も見受けられましたが、受賞作品を見ると若手や新人を発掘しようとしている会としての意志が感じられました。
六本木の新美術館は話題性は高いのですが、その動線の悪さなど問題点も指摘されています。「新制作展」は作品一つひとつのクオリティー云々ではなく、この動線の悪さに足下をすくわれた印象です。エントランスになる1階会場はスペースデザインと彫刻が展示されていたのですが、作品が込み合っていて1点1点をしっかりと見ることが難しい環境でした。特別展示として大看板の佐藤忠良氏のブースを設けていましたが、その分を会員なり一般の出品者のスペースに当てた方が多少なりともすっきりと見えたのではないかと思います。絵画部門の作品も3階が一番すっきりとした展示で、なおかつ秀作も多く、このフロアーがエントランスだったら、ずいぶん印象も違ったのではないかと思いました。
それに対して「行動展」は、1階の第1室から順番に観て2階にいくという流れに即した展示でストレスなく観ることができました。屋外彫刻のブースがスカスカで寂しい印象もありましたが、おおむね作家の持つ力がそのまま伝わってくるような展示だったのではないでしょうか。
作品の見え方は、作品自体が持つ力は当然として、その展示環境によってずいぶん変わってきます。収蔵作品を持たない、公募団体に対する貸し出しをメインとする新美術館。公募団体の価値を高めるために、いろいろと工夫をしなければならない点は多そうです。
ギャラリー福山での渡辺淳写真展。渡辺さんは芸大の先輩で、学生時代一緒に仕事をした仲間でもあります。10年ぶりの再会でしょうか。作品は彼が生活する空間でふと気になったものや空間を、35mmのフィルムカメラで切り取ったいわばスナップ写真です。写真ではありますが“箱額”に入れることで絵画的な印象になっていました。
作品は、デジタル全盛の今でも、すでに生産中止になったOLYMPUSのフィルムカメラ OM4 で撮影しているとのこと。CANONなど他のメーカーの機材を試してはみたものの、気軽に持ち運べる小型ボディーとズイコーレンズ特有の柔らかな色合いの魅力には及ばず、今でも使っているとのことでした。OLYMPUS派の僕としては、話をしていて何となくうれしく感じました。
それぞれ会期は「青枢展」10/3まで。「新制作展」「行動展」10/1まで。「渡辺淳写真展」9/30まで。
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