TRANSPLANT
26日の続き。
「アール・ブリュット」展の開催している「ハウス・オブ・シセイドウ」
と「資生堂ギャラリー」を勘違いして、たまたま後者に入ったら面白い展
覧会をやっていた。渡辺剛「TRANSPLANT」展だ。この写真家の
作品には初めて出会ったのだが、なかなか考えさせられるものがあった。
エレベーターで地下の会場に降りギャラリーに目をやると、巨大なジャン
グルの様な風景が、実物大以上に引き延ばされて3つの壁面を埋め尽くす
ように展示されていた。葉っぱの一枚一枚から水が滴ってきそうな美しい
画像だった。「きれいだな」と思いつつ奥のギャラリーに歩を進める。
そこには建物や街角の写真の手前に「BRAZIL」など国名が刻み込ま
れたガラスを組み合わせた作品があった。解説を読んでみると、それぞれ
の国に移民した人々がその地で故郷を懐かしみつつ建てた建造物を撮影し
たのだという。一瞬「根無し草」という言葉が頭をよぎる。
解説を読み直せば、最初に見たジャングルのような風景も、実は異国の作
物を移植(TRANSPLANT)したプランテーションだとのこと。本
来そこに無かったものが我が物顔に存在する違和感。それがいつか馴染ん
でいく。そんな存在の不確かさを感じさせる展覧会だ。11月27日まで。
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